男性更年期障害(加齢男性性腺機能低下症候群)
加齢男性性腺機能低下症候群とは、LOH(ロー)症候群とも呼ばれています。
男性更年期障害といったものもありますが、LOH症候群は明確な診断や治療基準はありませんでした。
しかし、この病気の発症が更年期を迎えた妻の小言から慢性的なストレスを受けたことが原因だったという症例がありました。
◆ 主な症状
◎ 細かい作業ができないといった知的活動の低下
◎ 寝付けないといった睡眠障害
◎ イライラする、抑うつ、気分の変調といった精神症状
◎ 感情を抑えられない、乱暴な性格になる などが挙げられます
男性ホルモンは男性特有の体つきを発育させるホルモンで、テストステロン、アンドロステネジオン、デヒドロエピアンドロステロンの3種類の総称として「アンドロゲン」と呼ばれています。
テストステロンは、男性ホルモンの代表格でそのほとんどが精巣で作られています。
生殖機能の調節のみならず、骨や筋肉の増強を促し、脳の働きを高めるといった精神を保つ働きをしており、男性が活動維持していくのに重要なホルモンです。
通常は加齢により精巣の機能が低下していき分泌量が減少していきますが、急激な減少が始まってしまうこともあります。
慢性的なストレスが蓄積した体内では、ホルモンの分泌が急激に減少し、突然の変化に身体がついていけず、様々な症状が現れてしまうケースがあります。
しかし、脳の働きが落ち、知的活動の低下や睡眠障害などの身体症状や、自律神経をうまくコントロールできなくなり、イライラや抑うつの精神症状などの症状は、精神疾患としてのうつ病と非常に見分けがつきにくいという怖い側面もあります。
うつ病と診断された患者様の中にLOH症候群が原因だったケースも報告されています。
LOH症候群は、血中の男性ホルモン(遊離テストステロン)の量にプラスして、ひどい発汗や筋力の低下といった身体症状や精神症状、性欲の低下や勃起障害といった性機能に関する症状などを加味して病の可能性を疑う必要があります。
気力低下やうつ傾向に悩んだら、心療内科だけでなく泌尿器科を受診することも必要です。
◆ 男性ホルモン補充療法(TRT)
血液中の男性ホルモン(テストステロン)値を検査。低くなっている場合は徐々にホルモンを補充していきます。補充量が定まるまでは、1~4週に一度程度のペースで来院していただきます。
ただし前立腺がん・前立腺肥大の方は、病気が悪化する恐れがありますので、注意が必要です。
※体外受精などは、適切な医療機関や連携病院へのご紹介を致します。
◆ 性機能改善薬(バイアグラなど)の処方
◎ バイアグラ
バイアグラは安全性の高い薬剤で長期の使用にも習慣性はなく、効果の減少は見られません。ただし副作用としては顔面紅潮、頭痛など(10%前後)があり、ニトログリセリン系の薬と24時間以内の同時服用は厳禁で、生命にかかわる副作用が発生する可能性があり、絶対に服用を避けなければなりません。
◎ シアリス
シアリスは、内服後36時間まで有効性が認められています。(バイアグラやレビトラでは内服後の効果継続時間が4~6時間です。)同時服用が禁止されている薬がいくつかありますので注意が必要です。
◎ レビトラ
レビトラはバイアグラとほぼ同様の安全性。
ただし、バイアグラ以上に同時服用が禁止されている薬がありますので注意が必要です。